受動喫煙防止健康増進法を学ぶ|Bonne Santé
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受動喫煙防止健康増進法を学ぶ

8/26/2021
田中 克彦

強制力のない法律?

健康増進法*1は2002年に施行された比較的新しい法律です。高齢化社会が加速し、国民の健康に対する意識が高まりつつある頃に作られました。
この法律の目的は「我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ること」とされています。しかし、内容は努力義務規定が多く、強制力を伴わない条項が多くあります。これは、健康増進は強制されて行うものではないという考え方によるものでしょう。

国民、国・自治体などの関係者の責務

法2条に「国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。」とあり、国・自治体の法3条、健康増進実施事業者の法4条より先に、国民の責務を規定しています。
ここでいう健康増進実施事業者の定義は、医療保険者や市町村などです。その中で健康保険組合は協会けんぽと共に一番最初に出てきます。そして、「健康教育、健康相談その他国民の健康の増進のために必要な事業を積極的に推進するよう努めなければならない。」とされています。

受動喫煙防止の法的根拠

その他法律には、ほとんどが国・自治体が主語になり、基本方針の制定、国民健康・栄養調査の実施、保健指導の実施、特定給食施設の設置と続きますが、第6章の受動喫煙防止がこの法律の中心であるかのようで、26条から42条から成っています。ここでは2020年の改正部分もあり、国・自治体以外の関係者も主語となり、また法29条では特定施設での喫煙禁止を明記し、ここは義務規定です。
社会的にも関心の高いこのテーマはほとんどこの法律にこの部分に盛り込まれていますので、ぜひ、一度読んで下さい。
繰り返しますが、自らの健康状態を自覚し、健康の増進に努めることは国民の責務とされていることより、それを支援していく健保組合の責務も決して軽いものではありません。

*1)https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000103


プロフィール画像
田中 克彦
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリー
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリーのシニアコンサルタント。 1954年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部経済学科卒。日本発条㈱に1976年4月~2019年3月在籍し、経理部や人事部、同社健康保険組合常務理事を経験。その才能は多彩であり、多くの資格を持つ(労働安全衛生トレーナー、第一種衛生管理者、心理相談員、ストレスマネジメント検定(マスターコース)、キャリアコンサルタント、健康経営アドバイザー)
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