ほっとひと息、こころにビタミン vol.48|Bonne Santé
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ほっとひと息、こころにビタミン vol.48

4/8/2022
大野 裕(ゆたか)



精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

孤立を防いで特殊詐欺被害を減らす


特殊詐欺の電話をAI(人工知能)が自動的に探知して警察に通報するシステムができたというニュースを聞いて、ちょっとうれしくなりました。多くの人たちの取り組みのおかげで特殊詐欺の件数は以前より減ってきているようですが、いまだに相当数に上っていて、来年度は今年度よりも増えそうです。


コロナ禍になって、別に住んでいる家族や親せきと会えないなど、孤立した生活が続いていることなども影響しているのでしょう。孤立した生活を送っていると、不安な気持ちを感じやすくなります。そのようなときに突然電話がかかってくると、すぐに対応しないといけないと考えて、慌てて行動してしまいます。自分だけで対処しなくてはいけないと考えると、無理をしてしまうことにもなります。



そうならないためには、孤立した状態にならないようにすることが大事です。よくいわれることですが、別に住んでいる家族とは、日頃から連絡を取り合うことで心理的な孤立を防ぐことができます。連絡をする場合も、スマートフォンを使ってお互いに顔を見ることができるようにしておくと、特殊詐欺の電話がかかってきたときに不自然な印象を持ちやすくなります。


テレビなどで繰り返し注意を促していると、アナウンサーの声が頭に浮かぶ可能性が高くなります。銀行などでの見守りも、一人で判断をしてしまっている人の助けになります。冒頭で引用したAIや留守番電話も、一人での判断を避ける助けになるという意味では孤立を防ぐ働きをしています。


孤立しない環境を作ることで特殊詐欺の被害を減らしましょう。


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大野 裕(ゆたか)
ストレスマネジメントネットワーク(株)
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。
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